『東京ミドル期シングルの衝撃』(宮本みち子、大江守之編著、東洋経済新報社)
内田樹氏HPより議論を深めてみよう。
以前「選択的非婚」が、未婚割合の中に一定数いることは言及していたが、実際に結婚しない層の背景とデータで追ってみた。
ミドル期(35歳~64歳)にあるシングルたちは結婚に対して『(中略)無関心というのではない。むしろ、日本社会では久しく「家族を作るな。シングルで生きろ」というイデオロギーが支配的だった。本書には言及されていないが、私の知る限り少なくとも1980~90年代においてはシングルであることは、都市生活者につよく勧奨された生き方だった。』という。
そういう空気に育ったミドル期のシングル世代が、『家族形成にあまり強いインセンティブを感じなくなったということはあって当然だと思う。』と本書は述べている。
これは統計データとしても『ミドル期シングルは1980年に35万人、2000年に156万人、2020年に326万人。40年間で約10倍に増えた勘定になる。(中略)離婚してシングルになる人たちもいる。(中略)これも急増している。(21頁)』
それだって個人の価値観でしょうとしてしまった。という問題点。
ミドル期シングルが、2010年代に高齢期シングルになり始めて、経済的困窮や社会 的孤立のリスク見え始めて、スポットを当て始めた。
「地方の伝統的規範を忌避する傾向」があり都市部に移り住むことによって、
『住む場所を変えるほど人は家族形成から遠ざかる。「人口移動によって出生率は低下する」のだ』(80頁)
結びとしては、ミドル期シングルに結婚を迫るのではなく、地域にゆるくコミットメントできる場所、集団を作ることが本書では、おすすめされていた。
以前にも紹介したが「選択的非婚」と同じような特徴を「ミドル期シングル」にもみることができる。「選択的非婚」は、自由な意思の元に選択されたものして捉えてきたというような見方をしてきた。
時代の空気に翻弄された、そう選ばされていたというような見え方も、断言はできないものの、ある気がしてきた。
社会そのものが、家族形成に対してインセンティブを持ちにくい社会なら、選択肢があるようでないのではないだろうか。
婚活支援チーム「ククリヒメ」では、
恋活・婚活ではない結びつきのあり方を模索しつつも、目の前の「付き合う意思のあるのにチャンスがない」の人たちに、スポットを当てたい。
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